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商標・デザイン侵害、アイデア奪取に対する3倍賠償の導入等 韓国知的財産保護に関する法律が国会通過

商標・デザイン侵害、アイデア奪取に対する3倍賠償の導入等韓国知的財産保護に関する法律が国会通過

- 商標法・デザイン保護法・不正競争防止法に関する特許法改正(2021年4月施行予定) -



特許庁は、商標・デザイン侵害及びアイデア奪取に対して「3倍賠償」を導入する商標法、デザイン保護法、不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律(以下「不正競争防止法」)等の知的財産保護に関する法律が9月24日(木)に国会本会議を通過したと発表した。まず、商標法、デザイン保護法一部改正案は、故意に商標権やデザイン権を侵害した場合、損害として認定された金額の最大3倍まで賠償するようにした懲罰賠償制度の導入を骨子とする。2018年の特許法と不正競争防止法に導入された特許権及び営業秘密の侵害に対する懲罰的損害賠償制度を商標とデザインの分野にまで拡大するものである。


また、商標権とデザイン権侵害時に、ロイヤリティによる損害額の算定基準を「通常受けることができる金額」から「合理的に受けることができる金額」に改訂した。従来の判例では「通常受けることができる金額」を取引業界において一般的に認められているロイヤリティに基づき判断するため、実際の損害額の算定が不十分であるという指摘があった。ちなみに、日本でも同様の理由で「通常」という文言を削除した後、ロイヤリティ料率が上昇*した。

* 1998年の日本の特許法改正に伴うロイヤルティ料率:(前)3〜4.2%→(後)7〜10%


それから、2011年に商標法に導入された法定損害賠償制度の最高限度額を5千万ウォンから1億ウォン(故意に侵害した場合は、3億ウォン)へと引き上げた。これは制度導入以降、韓国の商品取引市場の拡大、物価上昇要因等を考慮し、3倍賠償制度とともに商標権保護の実効性を高めるためである。



<法定損害賠償制度>

▶(概念)一般損害賠償請求は、商標権者が侵害と損害額を証明しなければならないが、法定損害賠償は、侵害のみ立証すれば法院が法定額内において損害額を算定できる制度として、商標権者の立証責任を緩和

▶(必要性)懲罰賠償導入とともに損害賠償額の上限も同時に引き上げて、商標権侵害に対する損害賠償額の適正化を図る


アイデア奪取行為により損害として認められた金額の3倍まで補償するようにした懲罰賠償制度の導入、不正競争行為に対する是正勧告事実の公表等を骨子とする不正競争防止法一部改正案も国会通過した。アイデア奪取行為によって中小企業等の被害が深刻化するのに伴い、従来の営業秘密侵害行為に導入された懲罰賠償をアイデア奪取行為に対しても適用することとした。また、不正競争行為に対して是正勧告に従わなかった場合は、違反事実を公表できるようにし、行政調査及び是正勧告の実効性を高めるようにした。


併せて、不正競争行為に対する行政調査が行われているさなかに当事者が発明振興法上の産業財産権紛争調停委員会に紛争調停を申請した場合は、行政調査を中止し、紛争の調停が成立した場合には、行政調査を終結して、早期に紛争を解決できるようにした。また、不正競争防止及び営業秘密に対する実態調査、基本計画及び実施計画の樹立に関する法的根拠が新たに制定された。



被害者の告訴がなくても特許権侵害行為に対する処罰を課することができるよう、特許法一部改正案も可決された。特許権者の告訴があって初めて特許権侵害に対する捜査が可能な「親告罪」を、特許権者の告訴がなくても職権捜査が可能な「反意思不罰罪」に改正し、特許権の保護を一層強化した。今後、特許権者は、告訴期間(6カ月)にとらわれず刑事告訴ができるようになった。

* 反意思不罰罪:権利者が侵害者の処罰を望まない場合は、起訴できない


これまで知的財産権侵害が後を絶たない理由について、知的財産に対価を払うよりも侵害によって得られる利益が大きいためという指摘が多かった。知的財産保護の実効性を強化するため、特許侵害に先に導入された「懲罰賠償」制度を商標及びデザイン侵害、アイデア奪取行為にまで幅広く適用することにより、韓国の知的財産全般における保護水準が一層高まるものと考えられる。


特許庁長は「今回の改正で知的財産権侵害に対する厳正な法執行が可能となることに伴い、今後市場において、知的財産が相応の対価を得て公正に取引される基盤が構築された」とし、「今回の改正を屋台骨に、特許法に先に導入された「損害額算定方式の改善」は勿論、「中小企業の特許保護のための証拠収集制度の導入」も迅速に推進していく」と述べた。



[出所: 特許庁]



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