損害賠償額の現実化に向けた特許法の一部改正法が施行
- 損害額の算定方式を改善し、3倍賠償制度の効果を最大化する見込み -
- 中小ベンチャー⋅スタートアップ企業の革新的アイデアに対する保護強化を期待 -
- 知的財産先進5カ国中、特許法上唯一の特許侵害における損害賠償システムを構築-
特許庁は、特許権者の生産能力を超えている特許侵害者の製品販売に対しても損害賠償をするよう定めた特許法の一部改正法が12月10日(木)から施行されると明らかにした。
従来は、特許権者の製品生産能力が100個である場合、侵害者が10,000個の侵害製品を市場に販売しても、特許権者は、本人の生産能力(100個)を超える9,900個の製品については、相応な損害賠償を受けられなかった。
すなわち、権利者の生産能力の範囲を限度として損害額が算定されると、通常の使用許諾契約を締結するよりも権利を侵害するほうがむしろ利益となる不合理な状況が続いていた。
改正特許法が施行されると特許権者は、これまで損害賠償の対象ではなかった残りの9,900個についても特許発明の合理的な実施料で計算され損害額として認められる。
** (現行)特許権者の生産能力の範囲×単位当たりの利益額
** (改正)(特許権者の生産能力の範囲×単位当たりの利益額)+(超過分×合理的実施料率)
改正特許法のような算定方式は、米国、英国、フランス、および日本など主要先進国でも認められている方式である。ただし、全世界で知的財産をリードする先進5カ国(韓国、米国、欧州、中国、日本)のうち特許法で改正された損害額の算定方法と3倍賠償を併せて明文化した国は、韓国が唯一である。
注目すべき点は、今後は侵害者が販売したすべての侵害品に対して損害額の算定が可能となり、故意的侵害の場合、最大3倍まで損害賠償責任を科されることである。これにより、悪意かつ意図的に行われる大規模な侵害行為から特許権を強力に保護できるものと期待される。ちなみに、同一内容の商標法、デザイン保護法、不正競争防止法の一部改正案は、12月1日に国会本会議を通過した。
特許庁産業財産保護協力局長は「特許法の一部改正法の施行は、昨年から施行された3倍賠償制度とともに本格的に民事的制裁が強化されるという点で意味があり、訴訟プロセスにおいて知的財産権の侵害、損害賠償額算定の実効性を高めるため、韓国型証拠収集手続きの導入を推進するものであり、一部の半導体業界で懸念される事項について、関連業界など幅広く連携し補完策を講じるなど、韓国社会の実情に即した制度となるよう努める」と述べた。
[出所: 特許庁]
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