■ 特許審判院(院長 朴成俊)は2017年3月導入した特許取消申請制度が安定して定着し、活発に利用されていると発表した。
特許取消申請は特許登録後であっても6ヶ月以内であれば証拠資料を提出するだけの簡単な手続きにより、審判官が特許を見直す制度である。以前は3ヶ月以内に申請しなければならなかったが、2017年から6ヶ月に延長された。
これは登録初期に瑕疵ある特許を誰でも取消申請できるようにし、将来起こりうる不要な特許訴訟などの紛争を防ぐための措置である。
■ 2017年3月から今年2月までの特許取消申請は合わせて278件(導入1年次(2017.3~2018.2) 134件、2年次(2018.3~2019.2) 144件)である。
これまで処理された103件のうち、25件(24%)は特許取消され、残りは特許維持された。このことから紛争予防効果が示された。
特許取消された25件のうち、不服として特許法院に係留中なのは3件のみであることから、特許審判院の判断に対する当事者の受容率が高いことが示された。
■ 特許無効審判において請求人は最初の審判請求書のみならず、相手方の主張に対する反論意見書を複数回提出せねばならず負担が大きかったが、特許取消申請では申請者は初回のみ提出すれば良い。
■ 特筆すべきことは、特許取消申請は誰でも申し込むことができることである。そのため企業間の利害関係を考慮し、ほとんどが個人資格で申し込むものとみられる。特許取消申請278件のうち、個人249件(申請件数の90%)、中小企業22件となっている。
被申請人である特許権者は外国企業162件(被申請件数の58%), 中小企業34件、大企業32件の順となり、特に外国企業の特許に対する見直しが活発であることが分かる。
■ 産業別で見ると、化学118件(申請件数の42%)、電気45件、生活用品37件の順となった。これは他の分野に比べて特に化学産業分野における外国企業の特許が多いことによるものと分析される。
[特許取消申請の現況と推移]
1. 月別申請件数
2.処理結果
3. 申請人の現況
4. 被申請人(特許権者)の現況
5. 特許分類の現況
※特許取消申請制度と特許無効審判制度との比較