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商標の同一性の範囲と積極的権利範囲確認審判の客観的要件(対象)に関する最新の判例紹介 [大法院 2019. 4. 3. 宣告 2018フ 11698判決]

商標の同一性の範囲と積極的権利範囲確認審判の客観的要件(対象)に関する最新の判例紹介 [大法院 2019. 4. 3. 宣告 2018フ 11698判決]

1. はじめに

商標権の権利範囲確認審判は、登録された商標を中心として未登録商標である確認対象標章が積極的に登録商標の権利範囲に属したり、消極的にこれに属しないことを確認する審判である。このとき、他人の「登録商標」である確認対象標章に対する積極的権利範囲確認審判は、登録無効手続き以外で登録された権利の効力を否定する結果となり、原則的に不適法であり、そのような審判請求は、本案審理前に却下されなければならない。しかし、確認対象標章が審判請求人の登録商標と同一ではなく「同一性の範囲」内において類似の場合にも同じ論理が適用されるのか、そして、本件において確認対象

標章と登録商標の標章が同一性の範囲内なのか、あるいは類似の範囲内なのか考察する必要がある。

[本件関連商標の情報]

2. 裁判所の判断

2-1. 特許審判院の判断

特許審判院は、被告の確認対象標章が登録商標と標章が類似していないため、使用商品および指定商品の同一・類似の如何に因らず原告の登録商標の権利範囲に属さないという理由で、原告の上記審判請求を受け入れない審決を下した。

2-2 特許法院の判断

特許法院は、被告の確認対象標章が原告の登録商標と標章が類似し、その使用商品も登録商標の指定商品と類似するので、両標章がともに使用される場合、一般需要者や取引者において、商品の出所について誤認・混乱を引き起こすおそれがあると言えるものであるから、確認対象標章は登録商標の権利範囲に属する。したがって、これと結論を異にした特許審判院の審決は不当であるとした。

2-3. 大法院の判断

商標権の積極的権利範囲確認審判において、「登録商標である確認対象標章」に対する審判請求は、不適法であることは明らかである。このとき、「登録商標である確認対象標章」には、登録された商標と同一の商標はもちろん、取引の通念上、識別標識としての商標の同一性を損なわない程度に変形した場合も含まれる。英文字とこれを単に音訳したハングルが結合された登録商標が存在し、確認対象標章がその登録商標の英文字部分とハングル音訳部分のうち、いずれか一方の部分を省略した形態となっていたとしても、英単語それ自体の意味により認識される観念以外にハングルの組み合わせで新たな観念が生じず、一般需要者や取引者に一般的に登録商標それ自体と同一に称呼される限り、これは登録商標と同一性が認められる商標である。

つまり、確認対象標章 "

" は乙会社の登録商標"

"のうち、ハングル音訳部分を省略した形態になっているが、ハングル「リバイネス」の組み合わせによって新たな観念が生じず、一般需要者や取引者に一般的に「リバイネス」と同一に称呼されるものと見られるため、取引観念上、乙会社の登録商標と同一性のある商標にあたる。したがって、本件審判請求は、乙会社の登録商標が甲会社の登録商標の権利範囲に属するという確認を求める積極的権利範囲確認審判として不適法であり、本件に対して却下せずに本案審理を進めた原審判決には法理を誤解した誤りがある。そのため、原審判決を破棄するが、本件は直接判断するのに十分であるため、特許審判院の審決を取り消し、訴訟費用すべて敗訴者である原告が負担するものと判決した。

3. 議論および示唆点

過去の判例は、商標の同一性の範囲について厳格に解釈してきたが、大法院2013. 9. 26.宣告2012フ2463全員合議体判決では、不使用取消審判において『「登録商標を使用」するということは、登録商標と同一の商標を使用した場合を言い、類似の商標を使用した場合は含まれないが、「同一の商標」には、登録商標そのものだけでなく、取引通念上の登録商標と同一として見ることのできる形態の商標も含まれる』としつつ、登録商標が英文字「CONTINENTAL」と、これを単に音訳したハングル「コンチネンタル」とが二段で併記されている形態で構成されており、「実使用商標」が登録商標のうち、上段の英文字のみが示された形態で用いられた事案において、登録商標と同一として見ることのできる形態の商標使用にあたると判断し、商標の同一性の範囲について厳格に解釈してきたこれまでの判例を覆した。

今回の判例は、不使用取消審判ではない権利範囲確認審判においても商標の「同一」範囲について全員合議体判決の判断方法を適用した事例として意味があるものであり、通常、審判請求時の商標の類似または商品の類似如何が最も重要な争点ではあるが、原則的な請求要件についても再度よく確認し、長期にわたる時間と費用を投じる審判と訴訟のプロセスが本件のように無益なものとならないように留意する必要がある。

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