協力型特許審査の割合を引き上げ – 特許審査官の増員で審査官同士の協議審査件数が増加傾向 –
■ 特許庁によると、特許審査の過程において同僚審査官と共に協議して審査する件数が増加し続けていることが明らかとなった。 ※協議審査件数(件):2016年) 18,296 → 2017年) 19,194 → 2018年) 21,863 →2019年6月) 11,643 → 2019年) 23,286(推計)
■ 協議審査は、融合複合・高難易度技術、再審査など、より詳しい検討が必要な出願の場合、多様な専攻を有する審査官が多角的な視点から互いに疎通を図りつつ検討するかたちで審査を行うことによって、これまでひとりの審査官が行ってきた単独審査の限界を補い、より一貫性のある審査サービスを提供することができる。
■ 協議審査は、最初の審査段階の協議審査と再審査段階の協議審査に分けられる。
「最初の審査段階の協議審査」とは、審査の初期段階から他の専攻分野が専門である第3審査官が担当審査官と共に協力して審査する制度であり、第3審査官が出願発明全体に対し、全体的に追加検討する「集中検証」のかたちで審査したり、担当審査官とは技術分野が異なる先行技術文献等を追加検索する「追加検索」のかたちで審査が進められる。
「再審査段階の協議審査」とは、出願された発明が1次拒絶決定された後、出願人の再審査請求により、再び審査する最後の審査段階において、特許チーム長と担当審査官、それに副審査官の3人が合議のうえで、最終的な決定を下す制度である。
■ 一方、特許庁は協議審査の拡大などによる特許審査の品質向上のため、特許審査官の増員を継続的に行っており、2018年には特許審査官16名を増員したのに続き、今年は56名の審査官を確保した。これにより、単独審査に比べ、より多くの審査資源が投入される審査官同士の協議審査が拡大し得る条件が整った。\
■ 特許庁審査企画課長は、「今年度末から、第4次産業革命の技術分野については3人での協議審査を基本とするなど、協議審査制度をさらに強化する計画」であることを明らかにし、「新たな付加価値を創出できる人工知能(AI)、モノのインターネット(IOT)など融合複合技術分野における協議審査の顕著な効果が期待される」と述べた。
[出所: 特許庁]