車両のフロントガラス、ナビゲーションに進化する
-フロントガラスにナビゲーション画面を拡張現実で実装する特許出願が増加-
運転者の車両運行を支援するナビゲーション装置は、ナビゲーション端末を車両に取り付けられる据え置き型と、ダッシュボードに小型ディスプレイとして装着する一体型とがある。[参考1]しかしこれはナビ画面が運転者の前方の視野を分散させることになり、安全運転の妨げともなり得る。近年では車のフロントガラスに運行情報に関するナビゲーション画面を拡張現実で実装することで、運転者の走行安全性を向上させることのできる技術の開発が活発化している。[参考2]
特許庁によると、車両のナビゲーション画面を車両のフロントガラスにリアルに表示する拡張現実ナビゲーションに関する特許出願が増加した。
拡張現実ナビゲーション装置は、ヘッドアップディスプレイ*(HUD: Head Up Display)または透明ディスプレイで車両のフロントガラスに走行情報と外部のオブジェクト情報(信号、車線、他の車両の走行情報、周辺建物や地域情報など)を表示し、運転者の視野分散を抑制することにより、運転者が運転に集中できるようにする。
* ヘッドアップディスプレイ(HUD)は、車両の情報(現在の速度、ナビゲーション、時間、外部温度、燃料残量、進行方向など)を車両内部のフロントガラスに照らし、運転者が見ることのできるようにする装置である。ヘッドアップディスプレイは、TFT(Thin Film transistor)投影装置が仮想グラフィックを生成し、これを車両のフロントガラスにビームプロジェクターの原理を用いて投影させる機器である。
特許庁によると、車両の拡張現実ナビゲーション装置に関する国内特許出願(出願日基準)は、2009年〜2012年に14件、2013年〜2018年に113件が出願された。[参考3]
ここ10年間の出願人別動向を見ると、韓国人の出願は120件(94%)で、外国人の出願は7件(6%)であった。主な出願人は現代オートロン26件(20%)で最も多く、次いで現代自動車23件(18%)、シンクウェア15件(12%)、LG電子12件(9%)の順であった。
拡張現実ナビゲーション装置を技術別に詳しく見ると、センサーとヘッドアップディスプレイ(HUD)を用いてフロントガラスに拡張現実ナビゲーション画面を投影する技術(98件)、拡張現実ナビゲーション画面をディスプレイするための車両のフロントガラスに付着される透明ディスプレイ技術(25件)、運転者の視線を検出して補正し、ホログラムまたは3D画面で情報を表示する画像処理技術(28件)、拡張現実ナビゲーション画面に外部のオブジェクト情報を表示するために外部オブジェクトとの通信を実行するためのモノのインターネット技術(14件)などが主となっている。
特許庁の加工システム審査官は、「拡張現実ナビゲーション技術は、センシング機能を含むHIU技術、透明ディスプレイ技術、5G通信を利用するモノのインターネット通信技術、画像処理技術などを含む融合技術であり、これらはコネクテッドカー、自動運転車に提供される基礎技術に発展することが予想されるため、関連技術の開発と共に先手を打った知的財産権の確保が何より重要である。」と述べた。
[出所: 特許庁]
<参考 1: カーナビゲーションの装着形態>
据え置き型ナビゲーションと埋め込み型ナビゲーション(出所:アイナビホームページ)
<参考 2: フロントガラスに表示される拡張現実>
車両の走行情報と外部オブジェクトの情報が車両のフロントガラスに表示されるナビゲーション画面(出所:現代自動車ホームページ)