金属を用いた水素貯蔵∙運搬技術関連の特許出願が活発
水素経済に対する社会的な関心が高まっているなか、金属を活用して水素を安全に保存し、運搬する技術の特許出願が活発であることが明らかになった。
特許庁によると、金属を用いた水素貯蔵∙輸送技術関連の特許出願件数は過去5年間(2014〜2018年)で135件、前の5年(2009〜2013年、101件)に比べて、33%以上増加したことが分かった。
これは水素が未来のエネルギー源として脚光を浴びるにつれて、水素を安全かつ効率的に活用するための企業の関心が高まっていることが反映されたものと考えられる。
技術分野別に出願動向をみると、固体水素貯蔵∙運搬技術が226件(95.8%)と最も多く、気体水素および液体水素貯蔵∙運搬技術が10件(4.2%)であることが分かった。
固体水素貯蔵∙運搬技術が大半を占める理由は、冷却または加圧すると水素を吸収して、金属水素化物となり、加熱または減圧すると、水素を放出する水素貯蔵合金を使用できるからである。
水素貯蔵合金を使用すると、水素が金属水素化物の固体状態で保存され、かつ爆発の危険性が除去されて、水素の体積を気体水素貯蔵用高圧ボンベの約7分の1に縮小できるため、貯蔵性が向上する。
固体水素貯蔵∙運搬技術のうち、水素貯蔵効率などを高められる水素貯蔵合金自体に関する特許出願が67件(28.4%)で、自動車、船舶、貯蔵設備などに使用される容器、タンクなどの製造に水素貯蔵合金を活用する技術が159件(67.4%)であった。
出願人別に特許出願の動向をみると、韓国人が191件(80.9%)、外国人が45件(19.1%)出願したことが分かった。韓国人の特許出願のうち、韓国企業の割合(105件、44.5%)が最も高く、次いで研究機関(43件、18.2%)、大学(22件、9.3%)、個人(21件、8.9%)の順で、特許出願が活発であることが明らかになった。外国人の特許出願では、日本(24件、10.2%)、米国(12件、5.1%)、欧州(7件、3.0%)の順で、出願の割合が高かった。
特許庁金属審査チーム長は「水素経済社会においては、水素の安全な貯蔵∙運搬技術が重要な技術の一つであるため、これに対する技術開発が今後熾烈になると予想される」とし、「市場の先取りのため、源泉技術と知的財産権の確保が何よりも重要である」と述べた。
1. 水素貯蔵∙輸送技術関連の出願現況(2009~2018年)


2. 水素貯蔵∙輸送技術関連の出願動向 (2009~2018年)




[出所:特許庁]