オンラインで無断で流通されるソフトウェア、特許で遮断する
- オンライン転送ソフトウェア保護関連改正法施行予定(2020.3.11) -
他人の特許発明を盗用したソフトウェア(SW)をオンラインで販売する場合、特許侵害にあたるのか。侵害するか否かは、改正特許法が施行される来年3月11日を前後に変わる。現時点では「いいえ」が正しい。
SWは、特許法上の保護対象である物に含まれないため、方法の発明*を具現するSWはUSBなどの記録媒体に盛り込まれ、オフラインで流通される場合に限り、特許で保護された。
* (例)自動車の速度に連動して、オーディオの音量を自動的に調節する方法
SWの流通環境がオンラインを中心に変化しつつあることから、特許庁は、2005年から特許発明が含まれたSWがオンラインで無断で流通しないよう法改正を推進してきた。
SWを特許対象に含む最初の改正案は、侵害対象が過度に拡大されることで関連産業が萎縮するという理由から民間団体と所管省庁の反対にあい、継続的な協議にもかかわらず、数回にわたる法改正は失敗に終わった。
特許庁は、特許権者の利益と関連産業の保護という二つの利点を実現するため、オンラインで無断で流通されるSWを遮断する最終案を導出することにより、改正法が通過するきっかけをつくった。
一方、特許発明が含まれたSWがオンラインで転送*できるからといって、すぐに特許侵害にあたるわけではない。改正法は、侵害を知りながらSWを不法に流通する販売者の特許侵害を防止するもので、個人的な使用または一般家庭における善良な使用は侵害行為にあたらないと定めた。
* 単純なSW転送、クラウドコンピューティングを利用したSWのアップロード•ダウンロードなど
特許庁長は「今回の改正法は、オンラインで流通するSWを保護し、SW産業における公正な競争に貢献できる」とし、「AI、ビッグデータ分析などの第4次産業革命時代における中核技術といえるSWを合理的に保護することにより、関連スタートアップや中小企業の技術保護に役立つことを期待している」と述べた。
[SW転送保護関連特許法の一部改正案説明資料]
□ 改正法の主な内容
ㅇ 議案番号 2013563 発議日 2018.5.14 ソン・ギホン議員など10名
ㅇ (提案理由) SWの流通環境がオンライン中心に変化するのに伴い、特許技術が含まれたSWのオンライン転送が特許発明の実施に該当するよう、発明の実施範囲を拡大する必要がある
ㅇ (主な内容)
①方法発明の場合、その方法の使用を申し込む行為を特許発明の実施に含める
(案第2条第3号ナ)
- 特許発明が含まれたSWのオンライン転送行為を保護するもの
<現行SW特許保護の現況>
* “△”は、SWが格納された記録媒体が装置に内蔵された場合に限り保護される
② SW産業萎縮防止のため、特許権又は専用実施権を侵害していることを知りながら*その方法の
使用を申し込む行為にのみ特許権の効力が及ぶようにする(案第94条第2項新設)
* 故意がある場合にのみ適用され、過失には適用されない
ㅇ (期待効果) 特許技術を含むSWのオンライン転送行為を未然に防止することができる効果があり、特許権者の利益を保護する一方、侵害を知りながら行った行為にのみ特許権の効力が及ぶため、SW開発者の創作を保護する効果が期待できる
□ 改正法推進の背景
ㅇ 特許を具現したSWをオフラインで流通(USB、CDなど)させると、特許法により保護されるが、同一のSWをオンラインで流通させると、保護は不可能
* Aが特許侵害のSWをBへオンライン転送し、BがCへCDを販売した場合、Bは明らかに特許侵害しているが、Aが特許侵害にあたるかについては不明確
- 同様のSWであってもSWの流通経路(オンライン、オフライン)によって、特許保護の如何が異なるのは不合理
* 主要国は、オン・オフライン流通の如何を問わず、いずれも特許法により保護
* (日本、ドイツ)物に含まれ、(米国)間接侵害認定、(英国)使用の申し込みと解釈
ㅇ SWの流通環境がオンライン中心に変化するのに伴い、オンライン流通するSWと関連した特許の実効的保護のための制度改善が必要
[出所: 特許庁]