廃棄していた石炭灰を環境に優しい新素材に!
- 石炭灰関連の特許出願が活発 -
特許庁によると、過去10年間(2010〜2019年)で石炭灰*のうち、主灰**に関連した特許出願件数は合わせて484件であったが、ここ3年間(2017〜2019年)の年平均出願件数は56件で、直近3年間(2014〜2016年)の45件に比べ、24%増加した。このような増加は、韓国国会が2016年5月に「資源循環基本法」を制定した後、韓国政府が石炭灰のリサイクルを政策として積極的に推進してきたからであると考えられる。
* 石炭灰(Coal Ash)とは、石炭火力発電所において石炭を燃焼させた後に残る副産物であり、大きさが極めて細
かいため、空中で捕集された飛灰(Fly Ash)と、大きさが比較的に大きいためカーソルボイラーの底に落ちる主灰(Bottom Ash)とに分けられる。
** 全石炭灰のうち約85%を占める飛灰は、ほとんどがコンクリートなどの建築資材としてリサイクルされるが、約15%を占める主灰は、有害物質である塩素などを含んでいるため、ほとんどを土に埋めて廃棄している。
< 年度別にみた特許出願件数 (2010~2019年、合計484件) >
過去10年間に出願された全484件を技術別にみると、軽量骨材用が158件(33%)、コンクリートおよびセメント用(コンクリート混和材、セメント原料、セメント二次製品の原料、セメントクリンカ製造原料の代替用)が151件(31%)、盛土用、覆土用、道路用、排水層用骨材用が37件(8%)、床土肥料の原料用が33件(7%)、窯業材料および断熱材などの原料用が31件(6%)など主灰のリサイクル用に関連した出願が大部分(合計425件、88%)を占めた。また、その他に主灰精製、選別、移送などの出願が59件(12%)であったことが明らかになった。
< 技術別にみた特許出願件数 (2010~2019年、合計484件) >
用途別では、ここ3年間(2017〜2019年)の累積出願件数を直近3年間(2014〜2016年)と比較すると、レミコンなどコンクリート混和剤用が82%(33件→60件)、窯業材料および断熱材などの原料用が78%(9件→16件)増加したが、これは単なる埋立地の盛土用ではなく、付加価値の高い用途での主灰を活用する試みが活発になったためと考えられる。
< 用途別にみた特許出願件数 (2010~2019年、合計484件) >
出願人別では、中小企業が234件(48%)、個人が98件(20%)、大学が52件(11%)、公企業が32件(7%)をそれぞれ出願し、外国人は13件(3%)と僅少であった。これは産業廃棄物の処理は主に韓国内の中小零細企業によって行われており、石炭灰の搬送が難しいことから外国企業の参入が容易ではないためとみられる。
< 出願人別にみた出願動向 (2010~2019年、合計484件) >
上位出願人の現況をみると、公企業では(株)韓国南東発電が12件、(株)韓国南部発電が9件、(株)韓国中部発電が9件、中小企業では建築•土木用結合材を生産する(株)大熊が11件、大学では人工軽量骨材を研究する公州大学校が9件、研究所ではコンクリートのセメント代替材を研究してきた韓国建設技術研究院が9件を出願し、主灰を資源として再活用するために積極的に努力していることが分かる。
< 上位出願人の出願件数 (2010~2019年) >
特許庁基礎材料化学審査課長は「廃棄していた石炭灰を利用した技術開発は、廃棄物処理の負担金問題、埋立地不足の問題、環境問題を解決できるのみならず、砂や砂利など天然骨材の代替として資源の好循環にも貢献する」とし、「廃棄していた石炭灰で環境に優しい新素材を生産することにより付加価値を創出できるとともに、知的財産権を確保し、市場競争力をつけることが重要である」と述べた。
[出所:特許庁]