2019. 7. 9 商標優先審査対象の拡大およびこれに関連する2020年改正審査基準
I. 商標優先審査制度の概要
商標優先審査制度とは、一定の要件を備えた商標登録出願については他の出願よりも優先的に審査を受けられる制度である。商標に関する審査は出願された順番で行われるのが原則であるが、すべての出願に対して例外なくこのような原則を適用すると公益や出願人の権利を適切に保護できない側面がある。そのため、商標法などでは出願人が出願した商標を指定商品すべてについて使用していたり、あるいは使用する準備を行っていることが明白な場合など一定の要件を満たす出願(下記の項の申請要件一般を参照)については、出願の順序と関係なく他の出願よりも先に審査されるようにした優先審査制度を設けており、このような優先審査制度は韓国のみならず、米国や日本などにもある。
優先審査出願の処理期間は、特許庁内部では次のように定めている。(出所:2020年商標、デザイン審査処理計画についての説明会資料)
A. 商品または図形の分類日または優先審査申請書を受け取った日のうち、いずれか遅い日付から10日以内に優先審査を行うか否かを決定 B. 優先審査決定書を発送した日から45日以内に審査に着手
II. 優先審査対象の追加および関連審査基準の改正
2019. 6. 11商標法施行令の改正(2019. 7. 9実施)に基づき、優先審査を申請できる商標の対象を下記のとおり追加し、これに併せて2020年の審査基準においては上記のような施行令改正事項を反映して各要件別の証明方法を具体化している。
A. 商標登録出願人がその商標登録出願に関連して、他の商標権者から異議を申し立てられた場合(第12条に第2号の2を新設) ※ 証明方法(2020年審査基準第6部第2章2.3.1):警告状の写し、内容証明の写し、口頭での警告、情報提出、SNSなどのような商標権者から異議を申し立てられた事実を証明できる一切の資料および商標権者から異議を申し立てられた事実の根拠となる先出願による商標登録番号
B. 優先審査を申請しようとする者が商標登録出願された商標に関連して、特許庁長が定め告示する専門機関に先行商標の調査を依頼した場合であって、その調査結果を特許庁長に通知するよう当該専門機関に要請した場合(第12条に第8号を新設) ※ 証明方法(2020年審査基準第6部第2章1.2.9):専門機関に先行商標調査を依頼した事実(調査機関と依頼日)を優先審査申請書に記載
III. 優先審査に対する申請要件一般
A. 優先審査の申請人 商標を出願した出願人や利害関係人(例外:大韓民国を指定国として指定した国際出願、指定商品追加登録出願をした者であって、原出願に対し、優先審査申請を行っていない場合)
B. 優先審査の申請時期 商標登録出願と同時または出願後もまだ審査が行われていない出願であれば可能(ただし、審査着手が2ヶ月以内にせまっている場合は優先審査を申請しても実益がないため、優先審査申請が却下され得る)
C. 優先審査の申請料 優先審査申請料は1商品類区分ごとに16万ウォン(専門機関の先行商標調査による優先審査の場合、専門機関に支給する調査費用が別途かかる)
D. 優先審査の対象 1. 商標登録出願人が商標登録出願した商標を指定商品すべてについて使用していたり、使用する準備を行っていることが明白な場合 2. 商標登録出願人がその商標登録出願に関連して、他の商標登録出願人から法第58条第1項による書面に基づく警告を受けた場合 3. 商標登録出願人がその商標登録出願に関連して、他の商標権者から異議を申し立てられた場合 4. 商標登録出願人がその商標登録出願に関連して、法第58条第1項による書面警告を行った場合 5. 法第167条によるマドリッド議定書(以下「マドリッド議定書」という。)に基づく国際出願の基礎となる商標登録出願を行った場合であって、マドリッド議定書に基づく国際登録日または事後指定日が国際登録簿に登録された場合 6. 「調達事業に関する法律」第9条の2第1項第2号による中小企業者が共同で設立した法人が出願した団体標章である場合 7. 条約による優先権主張の基礎となる商標登録出願を行った場合であって、外国特許機関において優先権主張を伴った出願に関する手続が進行中である場合 8. 存続期間の満了により消滅した登録商標の商標権者が商標登録出願を行った場合であって、その標章と指定商品が存続期間の満了により消滅した登録商標の標章および指定商品とすべて同一である場合 9. 優先審査を申請しようとする者が商標登録出願された商標に関連して、特許庁長が定めて告示する専門機関に先行商標の調査を依頼した場合であって、その調査結果を特許庁長に通知するよう当該専門機関に要請した場合