2020年、特許審判院が高品質審判に転換
特許庁特許審判院は、2019年は処理期間の短縮と待機件数の解消に集中したとするならば、今年は審理の充実を強化し、品質の向上に全力で取り組んでいくと発表した。
審判処理期間の遅延に伴い、その深刻さを解消するため、2019年初めから非常態勢で臨んでいる。
審判政策支援部署の人員が一時的に審判業務を支援し、審判長期経験者の優先配置、審判種別処理の指針策定を設けるなど処理の効率を向上させるための制度改善と、審判部の努力により、前年に比べて多くの事件を処理した。
その結果、審判処理期間は12カ月(2018年末)から8.8カ月(2020年3月末)へと3.2カ月短縮され、待機件数も10,675件(2018年末)から6,027件(2020年3月末)へと44%減少した。
< 審判処理期間短縮の現況 >
※ 特·実: 特許•実用新案、商·デ: 商標•デザイン、当:当事者系(無効審判等)、決:決定系(拒絶査定不服審判等)
特許審判院はこのような量的改善を基本とし、2020年審判品質向上など質的改善に向けて、次のように計画している。
1. 充実した証拠調べに基づく審判品質の向上
① (口頭審理の拡大) これまでの審判は書面中心に行われてきたが、今後は両当事者がいる無効審判などは口頭審理を原則とし、段階的に拡大する予定である。ただし、COVID-19によるソーシャル・ディスタンスなどを勘案し、オンラインで行うリモート映像口頭審理を積極的に活用している。
② (審理の強化) 口述審理で争点がまとまらず十分な説明審理が行われなかったり、複数回開催される問題があった。これを受け、審判官が口頭審理前に争点を予め整理した争点審問書を送付し、両当事者が十分に準備•対応できるようにした。
2. 審判手続の透明性•公正性の向上
① (審判事件の説明会を記録) 口頭審理とは異なり、審判事件の説明会において、当事者が関連内容の記録を確認できないという問題があった。これに対し、説明会開催時の主な内容を記録し、両当事者が確認し署名することにより、後日証拠資料として活用できるようにした。
② (権利者の防御権保障) 小企業など社会的•経済的弱者が速やかに行われる迅速•優先審判にうまく対応できない問題があった。これに対し、社会的•経済的弱者が答弁書や意見書を提出していない場合、最終審決前に意見書や資料を提出する機会が得られるようにした。
3. 審判の迅速性•効率性の向上
① (迅速審判の拡大) 無効事件が法院で係留中、権利者は権利範囲を縮小して無効を回避しするため何度も訂正審判を請求できるが、これまでは最初に請求した訂正審判のみ迅速審判の対象であった。しかし今後は、最初の訂正審判でなくとも特許法院に新たな証拠が提出され、必要と認められれば迅速審判で処理される。
② (早期着手) 特許取消申請は、特許登録後6カ月以内に誰でも瑕疵ある特許を早期に取り消すことができるが、これまでは審理が6カ月過ぎてから開始され、むしろ長期化するという問題があった。しかし今後は、6カ月以前であっても権利者が申請すれば取消申請事件に着手し、取消の可否について早期に決定を下すようにした。
特許審判院長は「特許権の安定性と予測可能性は、イノベーション企業の投資と取引を活性化させる重要基盤である」とし、「そのために審判の一貫性を高め、口述審理及び証拠調べなど法院の審理手続に準ずるよう審理の充実性をさらに強化する」と述べた。
[出所: 特許庁]