地球温暖化の主な原因である二酸化炭素の再資源化技術に関する特許出願が活発
- 電気化学的二酸化炭素の変換技術に係る特許出願が活発 -
今夏、蒸し暑い天気が予想される中、地球温暖化の主な原因の一つである二酸化炭素を削減する技術への関心が高まっている。二酸化炭素削減技術の範囲が、二酸化炭素を単に捕集し廃棄することから、二酸化炭素を再利用するレベルにまで拡張されたことにより、二酸化炭素を有用な化合物へと変換するための様々な技術が開発されている。 このうち、電気化学的変換(還元反応)を用いた二酸化炭素の再利用技術は、電気を活用することによる設備運用の容易性や、小さな設備スペースですむなどの利点により、次世代の二酸化炭素再資源化技術の一つとして脚光を浴びており、これに伴う特許出願が活発であることが明らかになった。
特許庁によると、電気化学的二酸化炭素の変換技術に関連した特許出願件数は、ここ5年間(2015〜2019年)で161件と、その前の5年(2010〜2014年、84件)に比べて、約2倍ほど増加したことが分かった。
技術分野別に出願動向をみると、変換装置の構造に関する出願が136件(55%)、変換装置の構成要素の一つである還元電極に関する出願が90件(37%)、酸化電極、分離膜など、その他の構成要素に関する出願が19件(8%)であることが分かった。
<電気化学的二酸化炭素の変換技術関連出願現況>
還元電極関連の特許が活発なのは、還元電極の触媒などの構成に応じて、化学薬品の製造などに用いられる一酸化炭素、ゴム製造等に使われるギ酸、燃料などに用いられるアルコールと炭化水素などの様々な生成物が得られ、二酸化炭素の有用な生成物への変換効率に大きな影響を与えるためと考えられる。
出願人別に特許出願動向をみると、韓国人が175件(71%)出願し、外国人は70件(29%)出願したことが分かった。韓国人による特許出願のうち、大学および研究機関(157件、90%)の割合が大半を占めており、残りは企業(18件、10%)が出願した。外国人による特許出願では、米国(26件、37%)、欧州(21件、30%)、日本(10件、14%)の順で、出願の割合が高かった。
大学および研究機関の割合が大半を占めるのは、投入される電気エネルギーと原料に比べて、生成物の経済性確保の困難さなどから、依然として研究開発段階にとどまっているためとみられる。
特許庁材料・金属・審査チーム長は「電気化学的二酸化炭素の変換技術は、二酸化炭素排出量を減少させ、地球温暖化問題を解決する目的のみならず、二酸化炭素の再利用という側面で経済的価値が高いため、これに対する技術開発が今後活発になると見込まれる」とし、「当該技術の実用化のために企業の関心が何よりも重要である」と述べた。
[出所: 特許庁]