第四次産業革命のビッグデータ、ストレージクラスメモリが解決する
- ストレージクラスメモリ関連の特許出願が活発 -
第四次産業革命を迎え、データを迅速かつ安全に処理する技術が注目される中、従来のDRAM(Dynamic Random Access Memory)とフラッシュメモリの利点のみを組み合わせた、ストレージクラスメモリ* (Storage Class Memory)関連技術の開発が活発に行われていることが分かった。最近脚光を浴びているストレージクラスメモリは、データ処理速度がDRAMと同程度でありながら、電源供給が中断されてもデータが消えないという優れた特性があり、システム速度を10倍以上高速化できるといわれている。
* ストレージクラスメモリ(Storage Class Memory) : フラッシュメモリのように不揮発性のプロパティを提供しつつ、同時にD-RAMのようにバイト単位でのランダムアクセスをサポートするメモリ
このようなストレージクラスメモリを活用して、人工知能、ビッグデータ、モノのインターネットなどの商用化とともに、急増するデータトラフィックをより迅速かつ効率的に処理できることが期待されている。
ちなみに、PC、スマートフォンなどで使用されるメモリは、主記憶装置であるDRAMと補助記憶装置であるフラッシュメモリとに厳格に区分されていた。DRAMは、データの処理速度は速いものの、電源供給が中断されるとデータが消えるという欠点がある。一方、フラッシュメモリは、DRAMと反対の特性を有している。
特許庁によると、過去5年間(2014〜2018年)のストレージクラスメモリ関連出願は、年平均46件で、その前の5年間(2009〜2013年)における年平均出願件数の11件に比べて、4倍以上増加したことが分かった。
<年度別にみた出願動向>
詳細な技術別に特許出願動向をみると、ストレージクラスメモリを主記憶装置として使用する技術(58%)が最も多く、ストレージクラスメモリを補助記憶装置として使用する技術(19%)、主記憶装置と補助記憶装置の処理速度の違いによるボトルネックを改善するために、ストレージクラスメモリをキャッシュメモリとして使用する技術(17%)の順となった。
<詳細技術別にみた出願動向>
過去10年間の出願人別にみた特許出願動向は、メモリ半導体技術の特性上、企業および大学•研究所が大多数(99%)を占めており、主な出願人は、サムスン電子(29%)、SKハイニックス(19%)、インテル(16%)、マイクロン(10%)の順となった。
<過去10年間の韓国人・外国人別にみた出願動向>
サムスン電子とSKハイニックスは、従来のDRAM分野で蓄積した技術的な優位性を背景に、ストレージクラスメモリを主記憶装置として活用することに軸足を置いているのに対し、米国のインテルは、マイクロンと共同開発した不揮発性メモリ技術である3DXpoint*を活用し、主記憶装置と補助記憶装置のデータ処理速度の違いによる、ボトルネックを改善する研究に重点を置いているとみられる。
* 3DXPoint : インテルとマイクロンが2015年7月に発表した不揮発性メモリ技術で、電気抵抗を利用してビット単位でのアドレスの割り当てが可能
<過去10年間の主な出願人の出願動向>
特許庁電子部品審査課長は「DRAMとフラッシュメモリの世界市場シェア第1位の韓国にとって、ストレージクラスメモリの登場は、脅威となり得る」とし、「このような危機をチャンスと捉えられるよう、ストレージクラスメモリに関連する技術動向の分析と研究開発を重ねていく必要がある」と述べた。
[出所: 特許庁]