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水素経済のパイオニア、水素ガスタービンの特許出願が伸びる

水素経済のパイオニア、水素ガスタービンの特許出願が伸びる

- 過去5年間(2015〜2019年)、水素ガスタービン関連の特許出願が増加 -



LNG(天然液化ガス)の代わりに水素燃焼ガスタービン*を駆動して電力を生産する水素ガスタービン*に対する特許出願が増加している。


特許庁によると、発電用水素ガスタービン関連の特許は、ここ9年間(2011〜2019年)で合計36件が出願され、毎年約2件に過ぎなかったが、2015年以降は6〜7件に増加した。

* 水素はLNG対比6倍の火炎伝播速度と3倍の発熱量を有しているだけでなく、燃焼後の副産物として純粋な水だけが残るため、CO2ガスの排出が全くない、環境にやさしいエネルギー資源として期待されている

1** 水素は、従来の石炭、LNGなどの化石燃料から抽出する方式に加えて、余剰電力を利用して水を電気分解するなど、さまざまな方法で経済的な生産が可能


<過去9年間の年度別にみた水素ガスタービン関連の韓国特許出願動向>

2018年基準でLNG発電は、韓国の全体発電量の26.8%で、石炭火力発電(41.8%)に次いで2番目に高い割合を占めている。最近では、PM2.5低減のため、石炭火力発電をLNG発電へと徐々に切り替えており、今後LNGガス発電の割合はさらに拡大すると予想されている。

このような状況下で、LNGガスタービンの効率を高めるために、燃料として使用されるLNGに水素を混合する試みが行われているが、現在、水素の混合比率を約60%まで高めた事例が発表されている。いまの水素ガスタービン技術の開発傾向を鑑みると、今後ほとんどのLNG発電所で、水素を発電燃料として使用できるようになると考えられる。


過去9年間の韓国の特許出願動向をみると、韓国電力などの発電事業者が水素ガスタービンに対する特許出願をリードしており、大宇造船海洋と三菱(日本)が追随している。一方、現在のガスタービン市場を牽引しているシーメンス(米国)、アルストム(イタリア)や斗山重工業は低調な特許出願動向を示しており、まだ水素ガスタービン技術に対する明確な方向性は示されていない。


<過去9年間の出願人別にみた水素ガスタービン関連の韓国出願>

しかし、多くの専門家が2030年ごろには水素ガスタービンの本格普及および商用化が可能になると予想しており、この技術分野への投資は、技術進歩の初期段階において独自のコア技術を先取りすることができる好機と捉えている。


水素ガスタービンに関する特許出願を技術内容別にみると、①石炭などの化石燃料から抽出された水素を活用する技術②燃料電池と水素ガスタービンを統合して発電する技術③高速火炎伝播特性と高位発熱量の活用のためのLNGと水素の混合比を決定する技術④水素燃料噴射ノズルの設計⑤燃焼室の配置および形状設計に関するものが中心となっている。


今後、生産した水素を輸送、貯蔵する技術と併せて、ガスタービンから発生する公害物質である窒素酸化物を減らすためにLNGとの混合比、燃料噴射ノズルおよび燃焼室の構造改善に向けて技術開発が展開されるものと見込まれる。


韓国政府は去年、水素経済をデータ、人工知能とともに3大次世代戦略投資分野に選定して世界最高水準の水素経済先進国を目指しているが、このような取り組みに水素ガスタービン分野が一助となるものと展望している。


特許庁動力技術審査課長は「現在、水素ガスタービン関連の年間出願件数は10件未満に過ぎないが、水素経済への関心の高まりと関連インフラの拡充に伴い、今後、この技術分野の特許出願は、更なる増加が見込まれる」とし、「これに併せて、現在取り組みを進めている温室効果ガスやPM2.5の低減、それに化石燃料からのエネルギー依存度減少によるエネルギーの自立にも貢献するだろう」と述べた。


[出所: 特許庁]

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